Tremolo cafe 日誌
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今日は店休日。
全国的に35℃近くの猛暑日だった模様。
自宅近くの香椎浜の木陰で、入道雲を眺めながら、
ビニールシートに寝転がって本を読んでいた。
5mほど離れた、同じ木陰の一角で、
おそらくインド・パキスタン辺りからの留学生の人達が、
談笑に興じながらバーベキューの準備を始めていた。
留学生会館の建物群もまた、浜から3分とかからない場所にある。
異国で同郷人同士が肩を寄せ合っている、
そんな親密な空気が自然に流れていた。
本を読んでいると、アリが足下から這い上がってきて、
膝頭の上で一度立ち止まり、
これからどこへ向かおうか、辺りをキョロキョロと眺め回していた。


「存在の耐えられない軽さ」ミラン・クンデラ

思索と物語を完全に両立させている語り。
こんな文章は初めて読んだ。
これは面白い。
すげえ。
K山くんの家の猫に3匹の子猫が生まれたのは、
もう2〜3ヶ月も前だったろうか。
お店に里親探しの貼紙をしたり、
結局はうちの実家でも、その中の一匹をもらい受けることになった。
子猫は実家のほうですくすく育ち、面白いことに「水」によく興味を示すそうだ。
風呂のお湯やトイレの便器の水で玉取ろうとして落っこちてみたり、
なんだか、おもしろ猫に育ってる様子。

聞くところによると、K山くんのとこの母猫がいなくなってしまったらしい。
もう1ヶ月近く帰ってないそうだ。
「心配だねえ?」とわたし。
「いや、まあ、帰ってくるでしょう」とK山くん、落ち着いた様子。
「え? けっこう余裕やね」
「はあ。村上春樹の小説でも、帰ってくる時は何事もなかったみたいに帰ってきてましたから」
「ああ、そんなのあったねえ。『ねじまき鳥クロニクル』だ」
「はい。まあだから、大丈夫なんじゃないですかねえ」
「だといいけど、ちなみに何の根拠もないよね?」
「ええ、まあ、ハハハ」

帰ってくると、いいですね。

いなくなった猫が帰ってくる本
雨の土曜日に、Nが北九州からやって来てくれた。
先月、この男の36歳の誕生日に贈った本を、
とても気に入ってくれて、
携帯電話のように持ち歩いてくれていた。
その本は、メモ帳のようにふとポケットから出されて開かれ、
馴染んだハンカチのようにくたびれて、Nの手の中に寄り添っていた。

「雪沼とその周辺」堀江敏幸

架空の街、雪沼とその周辺に暮らす人々の微細な心の機微、
を丁寧に丁寧に、つづれ織りのように折り重ねた連作短編集。
ここに暮らす人々の佇まいやテンポは、
たおやかで、さりげなくて、デリケートで、
そのままこの長年の友人、Nの人柄に通じるところがあり、
そんな思いを込めて贈った。

自分が何かを打つと、いつもいつも響いてくれる男、N。
喜んでくれて嬉しい。
Yさんは川上未映子の本がお好きで、
お店でも度々読んでいるので、たまに覗かせてもらう。

この、六人の識者との対談集は思わず欲しくなった。

「人はなぜ人を殺してはいけないのか」

法律だから?
悲しむ人がいるから?

あなたはなんと答えますか?




お店のカウンターで、Yちゃんが本を読んでいた。
「なんの本?」
「アリス イン ワンダーランド。映画も観に行きました」
「ジョニー デップね」
「そうなんですよ! ジョニー デップの映画初めて観ましたー」
「何?」
「パイレーツ オブ カリビアンも観てないんですよー」
「何?」

1つめの「何?」には、年取っちゃったジョニー デップを観るのが最初の出会いかあ、
という気持ち。
2つめの「何?」には、そんなもの観なくていい、という意が込められる。

というわけで、ジョニー デップが若く、かつ、ティム バートンと組んだ映画で、
「エド ウッド」を猛烈に勧めておいた。
女装癖のあるB級映画監督、を熱烈に演じる若きデップ。
ゴシック趣味丸出しのティム バートンの映像世界。

美しい。